| ペンネームの相談を受けたのは少し前のこと。それからほどなく「出来上がりました」の一文とともに、刷りたてホヤホヤの新刊本が送られてきました。私にとっても仕事冥利のうれしい瞬間です。
分野はフィクション。装丁は、本の中で繰り広げられるダークな世界を暗示しているのか、混迷と懊悩の色を不穏な霧の如くにうっすら塗り込めたという印象。タイトルに寄り添うペンネームは、その繊細な字体が作家としての彼に似合っているなあと思いつつ、中を開いてみました。
目に飛び込んできたのは、溢れるようにびっしり並んだ小さな活字たち。たいへんな力作であることは一目瞭然。これを読むには少しばかりの余裕と集中力と体力がいる、と瞬時に判断した私。「ムム・・・あとでゆっくり」とかなんとか意味のない呪文をつぶやきながら、思わず本を閉じてしまいました。
その後ようやく、まとまった休日を使い、たまっていた数冊と格闘することに。もちろん、彼の一冊も気合いを入れてゆっくり読み進めました。
読了後の私の頭は、軽い疲労感におそわれたほど重量級のストーリー。その文才におどろかされながら楽しい読書タイムを堪能。「いい作品を創ったね」と胸の内のつぶやきは、名づけ親から闘う彼への心からのエールでした。
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